神道の知識



家庭のまつり

1.家族みんなでお参りしましょう

お父さん、あるいはお母さんが毎朝、家族を代表して神棚まつりと祖先まつりを行い、家族が今日一日、無事に過ごせますようにとお参りします。
このとき、家族が揃ってお参りできればよいのですが、あわただしい朝に、そうした時間が持てないこともあるでしょう。そのようなときは、出かける前に、家族それぞれが神棚と御霊舎をお参りするようにしましょう。そして、帰宅時や就寝前にも、神棚と御霊舎にお参りします。家族で交わす「いってきます」、「ただいま」、「おやすみなさい」の挨拶を、神棚と御霊舎におまつりしている神さまやご祖先に申し上げ、祈りと感謝を捧げるのです。

こうした毎日のお参りを通じて、自分のことだけでなく、家族それぞれのことを願って神棚や御霊舎に手を合わせている自分に気づくはずです。おそらく家族全員が、同様の思いで手を合わせているのでしょう。
そんなときに、互いに思いやり、いたわり合う家族の絆を、そして家庭のあたたかさ、大切さを感じるのではないでしょうか。

一日のわずかな時間、家族みんなが神棚と御霊舎に手を合わせ、家族の絆と生命のつながりを実感する、そんな家庭ってすばらしいと思いませんか。

お正月は新たな気持ちで始めましょう

年の暮れになると、どの家庭でも大掃除をして新しい年を迎える準備をします。その際には、神棚も御霊舎も同様にきれいにし、宮形にお納めする御神札も新しくします。

これまでおまつりしてきた御神札は、お守りなどと一緒にまとめて、神社に設けられている古神札納所にお納めするか、神職さんに直接お渡しして、お焚き上げをお願いします。

年もたちますと、旅行の際に各地の神社をお参りするなどして、その年におまつりしてきた御神札が随分と多くなることもありますが、遠方の神社の御神札を近くの神社にお納めしても差し支えありません。大切なことは、家族が清々しい気分で新年を迎えようとするときには、神棚も御霊舎もきれいに御神札も新しくして、新たな気持ちで家庭のまつりを続けてゆくことです。

2.毎日のおまつり

おまつりは毎日欠かさず行いましょう

家庭のまつりは、毎日欠かさず行います。
毎朝、食事の前に洗面し口をすすいだ後に、まず神饌を整えます。
毎日お供えするものは、お米、お塩、お水の3品です。
榊立の水を取り替え、燈明がある場合にはこれをともし、神棚と御霊舎にそれぞれ神饌をお供えして、先に神棚まつりを、次に祖先まつりを行います。 お正月や毎月一日、家族の記念日などには、お米、お塩、お水、お酒のほかに魚や野菜、果物をお供えしましょう。
私たちが特別の日に、御馳走でお祝いをするのと同様、こうした日には特別におまつりします。
手狭な場所に神棚と御霊舎を並べておまつりしている場合は、神饌は1つでも構いません。神饌はおまつりの後に、おさがりとして家族みんなでいただきます。

3.神棚まつりと先祖まつり

家庭のまつりには、神棚まつりと祖先まつリがあります。

日本では古くから、お正月にお迎えする歳神さまをばじめ、台所にはかまど神さま、井戸には井戸神さまなど、さまざまな神さまをそれぞれにおまつりしてきましたが、近世以降は、伊勢の神宮の御神札(神宮大麻)と氏神さまの御神札、また特別に崇敬している神社があれば、その御神札を神棚におまつりして、神棚まつりを行うのが一般的となって今日に至っています。

祖先まつりは家代々のご祖先をおまつりするもので、御霊舎で行います。祖先まつりを行うのは、古来日本では、祖先の霊はこの世にとどまって祭りを通して人と交わり、この世の子孫を守ってくれると信じられているからです。

ところで、祖先まつりは仏式が本来と考えている方が多いようですが、仏教はもともと神や霊の存在を認めるものではありませんから、仏壇による祖先まつりも、こうした日本の伝統的な祖先を敬う心を土台としているのです。

4.おまつりする場所

おまつりは毎日欠かさず行いましょう

家庭のまつりは、日常生活における一家の中心となる行事ですから、神棚や御霊舎をおまつりする場所は、家の内でも清浄なところを選ぶようにしましょう。

一般には、清らかで明るく、静かで高いところに、南向き、あるいは東向きにおまつりするのがよいと言われ、神棚は座敷に、御霊舎は居間におまつりすることが多いようです。

しかし、今日の住宅事情を考えますと、このような場所が見当らないことも多く、神棚と御霊舎をどのようにおまつりしたらよいのか判らないという声がよく聞かれます。こうした場合は、家族が親しみを込めて、毎日お参りのできる場所を第一に考えます。それは、私たちをいつも見守って下さっている神さまやご祖先と共に暮らし、親しみを込めておまつりすることが家庭のまつりの原点だからです。ですから、家族がいつも集まって会話をしたり食事をするような、家庭生活の中心となる部屋の適当な場所に、丁重におまつりすればよいのです。また、神棚と御霊舎を同じ場所に並ぺておまつりすることになったとしても、神さまとご祖先を親しみと感謝を込めておまつりすることを大切に考えれば、差し支えないことと言えるでしょう。

5.宮形と御霊舎

家庭のまつりを行う場所が決まりましたら、神棚まつりに必要な宮形を用意します。
宮形は、御神札をお納めするためのものです。宮形の形や大きさは様々ですが、おまつりする場所(棚を吊る場合は棚の大きさ)を考えて適当なものを選びます。

祖先まつりには、御霊舎を用意します。御霊舎は、祖先の霊が鎮まる霊璽をお納めするものです。宮形も御霊舎も、神社でお祓いしたものをお頒けしていますので、近くの神社にお尋ねください。

神棚と御霊舎を同じ場所におまつりする場合は、宮形と御霊舎の座位を考えて、下図のように宮形と御霊舎を並べてすえます。

6.必要な祭器具

家庭のまつりを行うにあたって用意するものに、 1)注連縄(しめなわ)、2)紙垂(しで)、3)榊立(さかきたて)、4)瓶子(へいし)、5)水器(すいき)、6)平瓮(ひらか)、7)三方(さんぽう) 又は折敷(おしき)、8)燈明(とうみょう)などの家庭用祭器具があります。

注連縄は細いものを牛蒡注連(ごぼうじめ)、太いものを大根注連(だいこんじめ)と呼ぴ、稲藁を左綯にしたもので、これに四垂れ(または八垂れ)の紙垂を等間隔にはさみ込み、神棚の上部に取り付けます。ここが神聖な場所であることを示すものです。

紙垂は簡単に作れますので、汚れたり、破けたりしたときは取り替えましょう。また、注連縄は細い縄でもかまいません。

榊立は、神の宿る木、栄える木という意味をもつ榊を立てるためのものです。豊かな緑は、みずみずしい生命感にあふれて、神霊の宿る場所にふさわしいものです。地方によっては、樫、松、杉などを用いることもありますが、常に青々とした常緑樹を神棚や御霊舎の前に立てておくよう心掛けましょう。

瓶子、水器、平瓮、三方は、神饌(神さまやご祖先の召し上がりもの)を供えるためのものです。瓶子にはお酒を、水器にはお水を入れ、平瓮にはお米やお塩を盛り、これらを三方にのせてお供えします。その際には瓶子、水器の蓋は外します。祭器具は家庭用の食器と一緒に洗わないようにします。

7.紙垂のつくり方

8.御神札の納め方

神棚まつりを行う前に、神社でお受けした御神札を宮形にお納めします。

御神座の順位は、中央を最上位とし、次が向って右、その次が向って左になります。

三社造の宮形では、中央に私たちの総氏神さまである伊勢の神宮の神宮大麻を、向って右には氏神さまの御神札を、向って左には崇敬している神社の御神札をお納めします。

一社造の宮形の場合は、神宮大麻を一番手前に、そのうしろに氏神さま、そのうしろに崇敬する神社の御神札を重ねてお納めします。

各地の神社にお参りした際にいただいた御神札も、崇敬する神社の御神札のうしろに重ねておまつりします。

御神札の数が増えて、宮形にお納めすることができなくなったときは、宮形の横に丁寧に並べておまつりしましょう。

9.お参りの作法

神棚や御霊舎をお参りするときの作法は、神社に参拝するときの作法と同じ、 二拝(礼)二拍手一拝(礼)です。

神棚や御霊舎の前で、まず軽く頭を下げてから二拝(深くお辞儀をする)し、次に拍手を二度、次に一拝します。そして、退くときにはまた軽く頭を下げます。

10.ご祈祷の授与品

大神様の御加護を賜り、この1年を何事も無く常に慎みに心がけ、毎日(中今)を精一杯大切に過ごされ、世の為人の為に御奉仕しましょう。

〔お札・授与品は下記のようにお祀りください〕

お 札

袋からお出しになられ神棚(神殿)に納め1年間お祀りください。(お札・神棚の祀り方について記してありますのでお読みください。)

お守り

常にお守り戴きます様身につけておくか、カパン等に入れて一年間大切におもちください。

幸先矢

神棚か居間、あるいは玄関内側の鴨居など不敬に当らない場所にお祀りください。(但し、幸先失の授与は祈祷初穂科によって異なります。困に1万円以上と初宮詣のみです。)

神 箸

日常お使いください。

御神酒

神前にお供えしたお酒です。神棚にお供えしたのち、神様からの撤下(おさがり)として早めにお召し上がりください。

11.大 祓

大祓(おおはらえ)は六月と十二月に罪穢を祓い清める神事です。神社において、六月末日と十二月末日の年二回、大祓を行います。
神道では、人は本来きれいな心をもっていると考え、生活している間に、知らず知らずにその心もくもり、罪を犯し、穢にふれて、きれいな心から遠くなって行くのを、祓いによって、本来の心に帰ると教えるのです。
したがって肉体的な清め祓いというより、むしろ、心の穢を取りのぞくことが大切なのです。形代で身を撫で息を吹きかけるのは、心の穢を追い出してしまうことを意味し、自分の穢を人形に移し、人形をわが身の代りにして清めてもらうのです。
形代は撫物、人形などとも呼んで、紙を人の形に切り抜いたものです。神社で受けた形代に、家中の者の氏名を書き、大祓の日、これを手に持ち、身を撫で、一家が、町が、そして日本の国が罪や穢のない、清く明るく正しい社会となるように願い、息を三度吹きかけて、神社に持参し、お祓いを受けます。


茅の輪

茅輪神事は、「ちのわしんじ」と訓みます。茅輪をくぐり越えて罪穢を除き、心身の清浄ならんことを祈祷するので、 「輪越祭」「茅輪くぐり」とも称します。茅とはち、かや、ちがや、であって、菅、薄など、多年生草木の総称になります。
茅輪の起源については、釈日本紀七に、備後風土記逸文を引用して、次のような事柄が記してあります。

即ち、神代の昔、武塔神(素戔鳴尊)が、南海の方へお出でになる途中、ある所でお泊りになろうとして、土民の蘇民将来、巨旦将来と言う兄弟に宿を求められた。
その時、弟の巨旦将来は、裕福な身であったにも拘らず、宿を拒んだのに対し、兄の蘇民将来は、貧しい身ではあったが、尊をお泊し、 粟柄を似て座を設け、粟飯を饗して御待遇申し上げた。その後、年を経て尊は再び蘇民将来の家を訪れ、
「若し天下に悪疫が流行した際には、ちがやを以て輪を作り、これを腰に著けてをれば免れるであろう。」と教え給うた。

この故事に基づき、蘇民将来と書いて、これを門口に張れば、災厄を免れるという信仰が生まれ、また祓の神事に茅輪を作って これをくぐり越えるようになったのです。